行政書士試験の勉強をしていても、なかなか覚えられないという人は多いと思います。
法律は独特の言い回しをするので、慣れるにも一苦労でしょう。

 

そこで今回はなかなか覚えられないという人のために、私が実践した勉強法をご紹介します。

 

 

 

覚えられない内容は問題作成法で解決!

 

何度、勉強してもなかなか覚えられない・・・。
そんな経験が私にもありました。
そこで私はひとつの勉強法を試しました。
と言っても、そんな画期的なことではありません。
しかし少なくとも周りでこのような勉強法をしている人はいませんでした。
私が実践していたのは、自分で問題を作るという勉強法です。
私はこれを「問題作成法」と呼んでます。
そのままですみません。

 

私は主に条文の勉強にこの「問題作成法」を使っていました。
条文を覚えるというのは意外と重要で、記述式でも条文そのものを問われたり、条文を使った問題が出題されることがあるからです。
また条文はよくよく読んでみると、その理解が曖昧な場合があります。
そこで、条文をよく理解するためと、しっかりと覚えるために私は問題作成法で勉強しました。

 

問題を作るというのは意外と難しいものです。
特に受験勉強の初期段階は少し難しいかもしれません。
そういう場合は、条文の最後に「?」マークをつけるだけでも構いません。

 

例えば、民法1条1項は

「私権は、公共の福祉に適合しなければならない。 」

とあります。
この最後に「?」マークをつけて

「私権は、公共の福祉に適合しなければならない? 」

という感じです。
最初はこんなもので大丈夫です。

 

穴埋めにするのも良いと思います。
民法 第一条  「私権は、○○に適合しなければならない。 」など。

 

正誤だけでなく、関連性を持たせて問題を作成していくのも良いでしょう。
上記の例で言うと、「公共の福祉とは?」という感じです。
慣れてきたら、徐々に難しくしていきます。

 

私は、自分で作った問題をスマホに入れて通勤時間など、いつでもどこでもやれるようにして勉強し覚えていました。

 

 

ちゃんと読まないと覚えられない

 

条文やテキストをただ読んでいるだけだと、なかなか覚えられません。
また、なんとなく読んでいるとついつい理解しているつもりになりがちです。
この理解しているつもりが一番、怖いです。
そのままだと、記述式で何も書けないということになりかねません。
知っているのに思い出せない、知っているのに書けない、という事態になってしまいます。
しかし、ただ読むだけでなく、そこから問題を作成しようとすると、いつも以上にきちんと読み始めます。
何故かというと、ちゃんと中身を理解していないと問題が作れないからです。
初めの頃は難しい問題は作れませんから、最後に「?」マークをつけるだけ、とかなのですが、徐々に難しい問題を作りたくなっていきます。
すると、必然と文章を注意深く読み込むようになっていきます。

 

例えば

(未成年者の法律行為)
民法第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

という法律が民法にあります。

 

「?」をつけるだけでなく、少し難しい問題を作るなら皆さんはどんな問題を作りますか?
少し考えてみてください。

 

 

どうでしょうか。

 

 

問題を作るために、注意深く読み込みませんでしたか?
また読み込むだけでなく、どんな言葉に変えようとか、この言葉に変えても支障はないか、とか様々なことを考えませんでしたか?
これが非常に大事なことです。
これだけで、普通に読むより数倍深く読み込んでいることになります。

 

ちなみに私はこんな問題を作ってみました。

 

【問題】

「未成年者が法律行為をするには、必ずその法定代理人の同意を得なければならない。」
〇か×か

 

 

答えは、どっちでしょう?

 

 

 

正解は・・・

 

 

 

×です。

 

 

何故なら、原則は同意を得なければなりませんが、例外があるからです。
もう一度、条文を見てみましょう。

 

(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

 

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければなりませんが、例外として、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでないとされています。
よって、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、法定代理人の同意はいりませんので、必ず法定代理人の同意を得なければならないというわけではありません。

 

この、ちゃんと読む癖というのは、試験においても絶大な効力を発揮します。
試験の選択肢には非常に微妙な言い回しをしているものや、わかりづらい表現のものが多くあります。
しかし、注意深く読めばちゃんとわかります。
きちんと読める癖がついていれば、そういったわかりづらい表現に惑わされることなく、正解にたどり着くことができるでしょう。




覚えられないのは理解していないから

 

なかなか覚えられないという人は記憶に定着させる作業が弱い可能性があります。
上記の例で問題を作るとき、様々なことを考え、情報を集約させたと思います。
その作業がより理解を深め、記憶に定着させます。
例えば、法定代理人という言葉をいじって問題を作ろうとしたとします。
すると、そもそも法定代理人ってなんだろう、親以外でも当てはまるのかな、などの疑問が出てくるはずです。
または、「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」という部分をいじって問題を作ろうとしたら
単に権利を得、又は義務を免れる法律行為って具体的になんだろう、といった疑問が出てこないでしょうか。
問題を作るときは、間違ったものを作るわけにはいきませんので、自然と掘り下げて考えるようになります。
こうしたちょっとした疑問が条文の理解を深め、知識を広げ、記憶に定着させていくのです。
また、なかなか理解しづらい条文などもあります。
そんなとき、ただテキストを読んでも、わかったつもりになりがちです。
しかし、問題作成法をすれば、ちゃんと理解して覚えることができます。

 

 

覚えるには復習のしやすさが大事

 

覚えるには復習が大事です。
問題作成法は自分の言葉で問題を作り、解説や答えを用意します。
なので、復習する時にやりやすいです。
もちろん市販のテキストなども良く作られていますので、わかりやすく書かれています。
しかし、他人の言葉で書かれたものが、自分にあっているかどうかは別です。
一度学習した箇所でも復習する際に、どういう意味だったか、どんな解釈だったか、など意外とつまずいたりします。
また私は自分で作ったオリジナルの問題をスマホに入れ、いつでもどこでも復習できるようにしていました。
通勤時間や休憩時間など、ちょっとした時間でも復習できるので、大変便利です。
覚えるためには、こうやって隙間時間を利用して繰り返し勉強していくしかありません。
スマホを持っていないという方はこれを機会に変えるのもいいと思います。
ガラケーでは駄目だというわけではありませんが、操作性のことを考えると効率が悪いでしょう。
行政書士として開業する場合、仕事でもスマホの方が便利です。
また、行政書士は情報収集も仕事のうちですから、先端技術のことなども知っておくほうがいいです。
もう既にスマホも一般的になっていますので、これを機に変えてみましょう。

 

 

自分のレベルにあった問題を解くから覚えられる

この問題作成法は自分のレベルにあった問題しか作れません。
自分が理解している範囲のことからしか問題は作れませんし、慣れていかないと難しい問題は作れないからです。
しかし、それでいいのです。
まずは基礎を固めていくことが大事ですので、最初から難しい問題を解いてはいけません。
理解できていないことを覚えようとしても無理です。
何事もそうですが、基礎ができていないと、いくら勉強しても伸びません。
逆に基礎がしっかりとしていればどんどん伸びていきます。
ピラミッドと一緒です。
ピラミッドの1番下が基礎で、そこを広く丈夫に作らないと高く大きいピラミッドは作れません。
自分にあったレベルの問題を解いていき、基礎がついてくると、徐々に自分のレベルも上がっていきます。
それと同時に、難しい問題も徐々に作れるようになるでしょう。
すると、また自分のレベルが上がります。
そしてまた、より難しい問題が作れます。
そうやって繰り返しながらレベルアップしていきましょう。
市販の問題集を勉強するのも大事ですが、市販の問題集は過去問中心に作られています。
過去問は難しい問題が多いので、自分のレベルにあった問題ではありません。
まずは基礎固めをすることが最重要なので、過去問は自分のレベルが上がったらやりましょう。

 

 

作り手の気持ちがわかると有利

 

問題を作っていると、徐々に作り手の気持ちがわかるようになります。
条文によっては、1つくらいしか問題が作れないものもあれば、複数作れるものもあります。
徐々にそういうことがわかってきます。
問題を作るときにはポイントがあるからです。
そういうことがわかるとどんなメリットがあるかというと、試験の問題文や選択肢の文章のポイントが見えてくるのです。
言い方は良くないかもしれませんが、問題を作るときは、どうやって間違いやすいように作ろうかとか、ひっかかりやすいようにしたり、悩ませようとします。
そこには必ず、ポイントがあります。
この問題はこの点を問いていて、この選択肢はここでひっかけようとしているな、とかそのポイントをいち早く見つける能力が養われるのです。

 

 

問題作成法のデメリット

 

そんな問題作成法ですが、デメリットや注意点もあります。
まずは時間がかかることです。
通常の勉強方法は、テキストや講義でインプットし、問題集などでアウトプットするというスタイルだと思います。
そこに自分で問題を作るという作業が加わるので、余計時間がかかります。
もうひとつは理解に努めるあまり、掘り下げすぎてしまう、或いは、広げ過ぎてしまう危険性があることです。
問題を作るにはきちんと理解しなければならないということは先に説明しましたが、理解しようとして、色々と調べたり考えるでしょう。
そこまでは良いのですが、試験に関係のない又は試験では問われることのないことまで、波及してしまうと危険です。
問題を作ることが目的ではなく、試験に合格することが目的ですので、ほどほどにしておかないと時間がいくらあっても足りません。

 

 

覚えるために大事なのは基礎を叩き込むこと

 

時間がかかってしまう問題作成法ですが、私はそれでもやって良かったと思います。
私が行政書士試験で痛感したのは、自分が理解しているつもりになっていた、ということです。
問われている条文や判例を知ってはいるものの、きちんと説明できなかったり、記述式でも記憶が曖昧だったりしました。
ここをきちんと潰していかないと合格はできないなと痛感し、いちから基礎を叩き込むため、この方法で勉強し直したのです。
時間がかかってしまう「問題作成法」ですが、私は結局、遠回りをしたわけですから、初めからこのやり方でやっていれば、と思います。
急がば回れ、です。
この「自分がちゃんと理解しているのか」、それとも「理解しているつもりになっているのか」、というのは、自分自身で気付くのはなかなか難しいことです。
私はこの勉強法のおかげで、それに気づくことができました。
この勉強法を実践していなければ、それに気付かず、受験失敗を繰り返していたことでしょう。
このように覚えることも大事ですが、きちんと理解することの方が重要なのです。
きちんと理解したことは、すぐには忘れません。
皆さんは私のような失敗はしないでくださいね。




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