行政書士試験では稀に没問となる問題が発生します。
没問って何?
発覚するとどうなるの?
そんな疑問にお答えするため、今回は行政書士試験における没問について解説します。
そもそも没問とは何?
没問とは問題として成立していない問題のことをいいます。
例えば、選択肢に解答が存在しないとか、解答が複数存在してしまう問題のことです。
つまり、問題として没、ということです。
行政書士試験でも没問となった問題がある
行政書士試験では実際に没問となった問題が過去にあります。
最近では、平成27年度の行政書士試験で没問となった問題があります。
法令科目の択一式問題、問題16で、妥当なものを一つ選ぶ、という問題でしたが、妥当な選択肢が存在しないということが判明したため、没問となりました。
事情判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1. 事情判決は、処分取消しの請求を棄却する判決であるが、その判決理由において、処分が違法であることが宣言される。
2. 事情判決においては、公共の利益に著しい影響を与えるため、処分の取消しは認められないものの、この判決によって、損害の賠償や防止の措置が命じられる。
3. 事情判決に関する規定は、義務付け訴訟や差止訴訟にも明文で準用されており、これらの訴訟において、事情判決がなされた例がある。
4. 事情判決に関する規定は、民衆訴訟に明文では準用されていないが、その一種である選挙の無効訴訟において、これと同様の判決がなされた例がある。
5. 土地改良事業が完了し、社会通念上、原状回復が不可能となった場合、事業にかかる施行認可の取消訴訟は、訴えの利益を失って却下され、事情判決の余地はない。
解答
1.妥当ではない
処分が違法であることは主文で宣言される。
2.妥当ではない
損害の賠償や防止の措置が命じられるわけではない。
3.妥当ではない
義務付け訴訟や差止め訴訟には準用されていない。
4.妥当ではない
民衆訴訟に事情判決は準用されている。
5.妥当ではない
「法律上の利益を消滅させるものではない」という判例がある。
このように妥当なものを一つ選ぶ問題だったのですが、妥当な選択肢が存在しないという事態になったため没問となりました。
ちなみに予備校による解答速報では選択肢4を正解としたところが多かったようです。
同じく平成27年度の問題13についても疑義が生じました。
誤りを含む選択肢を一つ選ぶ問題で、選択肢2が正解(誤りがある)なのですが、選択肢4も誤りではないかという意見があったのです。しかし、これは没問とはならず、選択肢2が誤りを含むものとして正解となりました。
没問はどうやって発覚するの?
没問は各予備校が検証し、発覚することが多いようです。
各予備校では行政書士試験後に解答速報を掲載します。その時は速報なので、とりあえずは正解を出すようですが、疑義があるものはさらに検証し、没問となるのでは?という形で発覚します。そして行政書士試験を管轄している行政書士試験センターへ報告され、行政書士試験センターが指摘された点を検証、検討し、没問となった場合は正式に発表されます。
没問になるとどうなるの?
では没問が発覚した場合はどうなるのでしょうか。
平成27年度の没問に関しては全員正解という対応がとられました。
没問があるなんてラッキー!と思う人もいるでしょうが、没問が発生すると記述式の採点が厳しくなるという噂もあります。
記述式の採点はその年によって厳しさが違うと言われており、没問題で受験生の総得点が上がると合格者も増えるため、そこを記述式の採点で調整している可能性があるのです。
そうなると一概に良かったとも言えないかもしれませんね。
没問への対策
このように行政書士試験でも没問となる問題が発生する可能性があります。
試験中に没問となる可能性がある問題を解いていると、どれが正解なのか迷うこともあるでしょう。
「正解の選択肢がない!」
「一つの選択肢を選ぶのに、正解と思われるものが複数ある!」
没問がある場合、試験中にこういった混乱を起こすことも考えられます。
こういう場合は、没問が存在する場合もあり得ると想定して、試験にのぞむと良いでしょう。
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