行政書士試験の記述式では、例年通りであれば行政法と民法から出題されます。
行政法は1問、民法からは2問の出題です。
記述式の行政法、民法それぞれについて分析しましたので、ご覧ください。

 

 

行政法はどんな問題が出題されるか

記述式の行政法はどんな問題が出題されるのでしょうか。
実際に出題された過去問を見てみましょう。

 

平成29年度 問題44
A市は、市内へのパチンコ店の出店を規制するため、同市内のほぼ全域を出店禁止区域とする条例を制定した。しかし、事業者Yは、この条例は国の法令に抵触するなどと主張して、禁止区域内でのパチンコ店の建設に着手した。これに対して、A市は、同条例に基づき市長名で建設の中止命令を発したが、これをYが無視して建設を続行しているため、A市は、Yを被告として建設の中止を求める訴訟を提起した。最高裁判所の判例によれば、こうした訴訟は、どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、どのような理由で、どのような判決がなされるべきこととなるか。40字程度で記述しなさい。
〜行政書士試験研究センターHPより〜

 

行政法の記述式は事例式問題がよく出題されます。
事例式の記述では誰が、誰に対し、どのような権利や法律に基づき、何と言う訴訟を提起するか、と言ったことが問われます。
従って、関係図など図式を描いて自身が理解しやすいようにしましょう。

 

 

【年代別】行政法の出題内容

 

平成30年度
行政事件訴訟法

 

平成29年度
建築工事続行禁止請求事件(宝塚市パチンコ店条例事件)

 

平成28年度
地方自治法

 

平成27年度
行政事件訴訟法

 

平成26年度
地方自治法

 

平成25年度
建築確認の判例

 

上記の出題傾向を見ると行政法の記述式は主に行政事件訴訟法から出題されていることがわかります。
従って、記述式の学習では行政事件訴訟法をメインにしていくと良いでしょう。
また、近年では地方自治法からの出題も見受けられます。
記述式では、この2つを中心に学習していくことになるでしょう。

 

 

記述式の行政法はどんな勉強をすべきか

行政法の記述式では条文からの出題が多いため、学習も条文を重点的におこないます。

 

とは言っても、特別に何かをする必要はなく普段の勉強から記述式を意識して学習すれば良いと思います。
記述式が苦手な受験生はまず記述式の問題に慣れることが大事です。
問題集を活用して対策していきましょう。

 

40字記述式・多肢選択式問題集

 

記述式や多肢選択式が苦手という人におすすめの問題集です。この問題集は穴埋め問題など基礎問題から学び、本試験と同レベルの問題へとステップアップしてく方式になっているので、無理なく学習することができます。

 




民法はどんな問題が出題されるか

それでは行政書士試験の民法記述式ではどんな問題が出題されているのか、実際に出題された過去問を見てみましょう。

 

平成29年度 問題45
AはBに対して100万円の売買代金債権を有していたが、同債権については、A・B間で譲渡禁止特約が付されていた。しかし、Aは、特約に違反して、上記100万円の売買代金債権をその弁済期経過後にCに対して譲渡し、その後、Aが、Bに対し、Cに譲渡した旨の通知をした。Bは、その通知があった後直ちに、Aに対し、上記特約違反について抗議しようとしていたところ、Cが上記100万円の売買代金の支払を請求してきた。この場合に、Bは、Cの請求に応じなければならないかについて、民法の規定および判例に照らし、40字程度で記述しなさい。
〜行政書士試験研究センターHPより〜

 

このように民法の記述式では事例式問題が多く出題されています。
誰が誰に対して、どのような権利、法律に基づき、何年以内に何と言う訴訟を提起するか、と言ったことが問われます。
条文や判例の知識を駆使する問題も出題されますし、条文の内容をそのままストレートに聞いてくる問題も出題されます。
特に年数などは正確に覚える必要があるので要注意です。

 

 

【年度別】民法の出題内容

 

平成30年度
総則 権利能力
債権 贈与

 

平成29年度
債権 債権の譲渡
債権 不法行為

 

平成28年度
債権 売買の効力
親族 離婚

 

平成27年度
物権 占有権
親族 親子

 

平成26年度
債権 詐害行為取消権
債権 売買の効力

 

平成25年度
総則 代理
物権 占有権

 

 

こうして見てみると債権からの出題が多いことがわかります。
債権以外でいうと総則、物権、親族と満遍なく出題されています。

 

 

民法はどんな勉強をすれば良いか

民法の場合も記述式では条文を用いた出題が多いです。
難しいことは問われず、基本的なことを聞いてきます。
行政法と同様に、特別な勉強をする必要はありません。
普段の学習から基本的な内容を大切にしながら、記述式を意識して勉強していきましょう。
記述が苦手だという人は、記述式用の問題集を利用して学習しましょう。

 

 

まとめ

  • 行政法は行政事件訴訟法の出題率が高い
  • 民法は債権からの出題率が高い
  • 普段の学習から記述式を意識して勉強すべし

 

記述式対策は普段の勉強で記述式を意識した勉強をすることが大切ですが、最初から記述式を意識して勉強するのは難しいことです。
意識できるようになるには最低でも記述式の問題集や過去問で勉強した後になります。
そこで初めて、こんな問題が出てこんな風に解くのかということがわかり、その経験をもとに普段の学習で記述式を意識した勉強ができるわけですね。

 

学習の順番としてはテキストでの学習から始まり、次に過去問に取り掛かります。
それで過去問が終わってから個別の対策を行ったり、再度過去問を繰り返して勉強したりします。
なので記述式問題集に取り掛かるのは早くても過去問が終わった時になります。

 

テキスト⇒過去問⇒記述式問題集⇒・・・

 

 

もう一つおすすめの方法は過去問と解く時に正誤の理由を書くという勉強法です。
誤っているものはどこがどのように間違っているのかを人に説明するように書くことで、知識が整理され、重要な語句が記憶に残るというメリットがあります。
またこの方法は書く練習にもなります。
最近はパソコンやスマホを使って文章を書く機会が増え、逆にペンで字を書く機会はめっきり減りました。
そのせいか、久しぶりに字を書くと簡単な字でも、出てこないなんてことはありませんか?
記述式は誤字や脱字の場合も減点の対象となるので注意が必要です。

 

また条文の勉強法としておすすめの方法もあります。
こちらの記事に詳しく記載していますので興味のある方はお読みください。
覚えられない人へおすすめの行政書士試験合格に導いた勉強法




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