行政書士試験において記述式は合格するために重要な問題です。
記述式の勉強法として過去問をするべきなのか悩む人もいるかと思います。
そこで今回は行政書士試験の記述式の過去問で勉強するべきなのかを検討していきます。

 

 

記述式の過去問はやるべきか?

記述式は配点が高く、試験合格のためには必ず得点しておきたい問題です。
記述式の勉強法としては色々ありますが、記述式の過去問で勉強するべきなのか、悩むところです。
その理由としては過去問と同じ問題は出題されないので、過去問を勉強しても意味がないと思われるからです。

 

しかし過去問を勉強しても意味がないように思えますが、記述式の過去問はやっておくべきだと考えます。

 

パターンがわかる

記述式の過去問から同じ問題が出題されることはありません。
しかし、問われ方についてパターンが存在します。
どのような形で出題されるのか、問われ方のパターンを知ることによって、記述式が解けるようになるにはどうすれば良いのかが、わかってきます。

 

解法テクニックを学べる

過去問題集には解説が掲載されていますが、解法も掲載しているものがあります。
それを利用することで記述式の解き方を学ぶことができます。
記述式は解き方や記述の仕方が重要なポイントとなってくるので、解法テクニックを過去問題集から学んでおくのは大きなメリットと言えます。
解法テクニックを学ぶことで記述式の対応を知ることができます。

 

 

過去問の勉強法

過去問で記述式を勉強する意味は、どんな問われ方をするのか、問いに対してどのような記述をすれば良いのかを知ることです。
そして、記述式の解き方を学ぶことです。
これらを学ぶために記述式の過去問を利用していきましょう。

 

それでは、記述式過去問の勉強法を実例で解説していきます。

 

平成29年度試験 問題44

A市は、市内へのパチンコ店の出店を規制するため、同市内のほぼ全域を出店禁止区域とする条例を制定した。しかし、事業者Yは、この条例は国の法令に抵触するなどと主張して、禁止区域内でのパチンコ店の建設に着手した。これに対して、 A市は、同条例に基づき市長名で建設の中止命令を発したが、これをYが無視して建設を続行しているため、A市は、Yを被告として建設の中止を求める訴訟を提起した。最高裁判所の判例によれば、こうした訴訟は、どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、どのような理由で、どのような判決がなされるべきこととなるか。40 字程度で記述しなさい。
一般財団法人 行政書士試験研究センターHPより

 

まずは何を問われているかを明確にします。
この問題で問われていることは、@どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、Aどのような理由で、Bどのような判決がなされるべきこととなるか、の3つです。

 

次に解答の骨組みを考えます。
「○○の立場でA市が提起したもので○○の理由から○○の判決がなされるべきである」

 

そしてこの○○に当てはまる言葉や文章を考えていきます。

 

これは「宝塚パチンコ店建設中止命令事件」からの出題です。

 

【事件番号】 平成10(行ツ)239
【事件名】 建築工事続行禁止請求事件
【裁判年月日】 平成14年7月9日
【判決】 却下

国又は地方公共団体が提起した訴訟であって,財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には,法律上の争訟に当たるというべきであるが,国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから,法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく,法律に特別の規定がある場合に限り,提起することが許されるものと解される。
裁判所ウェブサイトより(http://www.courts.go.jp/)

 

○○に答えを当てはめると
「行政権の主体として」の立場でA市が提起したもので「法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなない」との理由から「却下」の判決がなされるべきである

 

これを40字程度にまとめます。
行政権の主体としてA市が提起したもので法律上の争訟ではないから却下判決がなされるべき。

 

行政書士試験研究センターの解答
もっぱら行政権の主体の立場からなされ、法律上の争訟に当たらず、訴え却下の判決がなされる。

 

概ね、記述式の解き方はこのような流れになります。
まずは過去問などを利用して、このパターンに慣れていきましょう。

 

@何を問われているかを明確にする
A解答の骨組みを決める
B当てはまる文章や語句を考える
C40字程度にまとめる

 

 

もうひとつ実例を紹介します。

 

平成29年度試験 問題46

不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が、いつの時点から何年間行使しないときに消滅するかについて、民法が規定する 2 つの場合を、40 字程度で記述しなさい。
一般財団法人 行政書士試験研究センターHPより

 

何を問われているかを明確にする
@いつの時点からA何年間行使しないときに消滅するか

 

解答の骨組みを決める
○○の時点から○○年間行使しないときに消滅する

 

当てはまる文章や語句を考える
これは民法724条からの出題です。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
出典:e-Govウェブサイト(http://www.e-gov.go.jp)

この条文から文章や語句を当てはめます。

 

「損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときと不法行為の時から二十年を経過したときに時効によって消滅する。」

 

40字程度にまとめる
「損害及び加害者を知った時から三年間又は不法行為の時から二十年を経過したときに消滅する。」

 

このように問われている内容自体は、さほど難しいものではありません。
答えるべき知識を有するか、その知識を正しく記述できるかがポイントとなります。

 

40字記述式・多肢選択式問題集

 

 

この問題集は穴埋め問題など基礎問題から学び、本試験と同レベルの問題へとステップアップしてく方式になっているので、無理なく学習することができます。




過去問だけやっても記述式が解けるようにはならない

記述式の過去問はメリットもデメリットもありますが、注意しなければならないのは過去問だけ勉強しても記述式が解けるようにはならないということです。
記述式は例年、行政法1問、民法2問が出題されます。
仮に10年分の過去問を解いたとしても行政法は10問、民法は20問分しか解けません。
これでは演習量が少ないため、過去問を解いたからといって、それだけで記述式対策が万全とは言えないでしょう。

 

 

記述式の対策として判例もやるべし!

 

記述式の過去問では出題パターンや解法テクニックを学びます。
しかし、過去問だけでは記述式が解けるようにはなりません。

 

上記の2問から、条文や判例から出題されていることがわかります。
従って、記述式においては条文や判例をしっかりと学習しておく必要があります。
記述式は条文や判例などからの出題が多いです。
従って、条文や判例の勉強が必要となります。
すべてを学習するのは無理があるので重要な条文や判例を中心に勉強していきましょう。
また、そのほかの条文や判例もまったく知らないという状態はおすすめできません。
目を通しておくだけでも良いので、できるだけ多くの条文や判例に触れておいてください。

 

記述式の勉強法は普段の学習から記述式の問題を意識しておこなうと良いです。
テキストを読む際も、記述式なら何を問われるのかを意識しながら、読み込みましょう。
特に、いつから、何年、誰が、どんなとき、といったことに注意しながら勉強していくことをおすすめします。

 

みんなが欲しかった!行政書士の判例集

 

 

こちらの判例集は読みやすく比較的初学者向けのような判例集です。




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